最先端共同HPC基盤施設
(筑波大学計算科学研究センター、東京大学情報基盤センター)
筑波大学計算科学研究センターと東京大学情報基盤センターとが共同運営する、最先端共同HPC基盤施設(JCAHPC:Joint Center for Advanced High Performance Computing、施設長:朴泰祐、http://jcahpc.jp)が運用し、富士通株式会社が構築した超並列GPUクラスタ型スーパーコンピュータMiyabiがLinpack性能46.8 PFLOPSを達成し、2024年11月のスーパーコンピュータ性能ランキングを示すTOP500リスト(http://www.top500.org)において、国立大学のスーパーコンピュータとして最高性能システムとして登録され、また国内における学術目的のスーパーコンピュータとして「富岳」に次ぐ第2位の性能を達成しました。
最先端共同HPC基盤施設は、筑波大学及び東京大学により共同運営されると共に、2大学が共同してスーパーコンピュータの調達・運用を行う、国内唯一の試みです。同システムは東京大学柏キャンパス内の情報基盤センターに設置されますが、システムの調達・導入・運用及び主な利用プログラム運用等の全てを2大学が共同で実施します。同システムは米エヌビディア社の最新技術であるGPUとCPUを単一モジュールにパッケージしたGH200 Grace-Hopper Superchipを1,120台搭載したMiyabi-G(倍精度ピーク演算性能78.8 PFLOPS)と、米インテル社のHBM搭載高性能プロセッサIntel Xeon CPU Max 9480を380台搭載したMiyabi-C(倍精度ピーク演算性能1.3 PFLOPS)という2つのシステムからなります。今回、TOP500において国内第2位の性能となったのは、これらのうちMiyabi-Gを用いて計測された結果です。
Miyabi-Gに用いられているGrace-Hopper Superchipは、単一のモジュールにGrace CPUとH100 GPUの両方を搭載し、これらの間をNVIDIA NVLink-C2Cと呼ばれる超高速ネットワークで結合したもので、従来のGPU搭載計算ノードに比べ遥かに高速なGPU-CPU間通信を実現しただけでなく、両者の間でメモリ参照を自由に行う共有アドレス空間の利用をハードウェアで実現しました。Miyabi-GはこのGrace-Hopper Superchipをスーパーコンピュータに利用した国内初のシステムとなりました。
同システムは、革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)及び両大学が個別に実施する各種利用プログラムの下、国内最高性能のGPU搭載スーパーコンピュータ資源として共同利用に供され、次世代の様々な科学技術分野の研究開発を飛躍的に推進します。また、最先端計算科学の研究だけでなく、計算科学及びHPC分野の人材育成にも利用され、各分野の今後の発展に貢献します。本システムの導入及び運用により、筑波大学計算科学研究センター及び東京大学情報基盤センターは、なお一層の社会貢献に寄与していきます。
JCAHPCの初代システムであるOakforest-PACS(OFP,2016 - 2022年)は、主として計算科学シミュレーションに使われておりました。今後はそれに加え、2015年以降東京大学が推進してきた「計算・データ・学習」融合における成果と知見、及び筑波大学が進めるAIの支援による計算科学の推進といったコンセプトをMiyabiの上で展開していき、生成AI等による科学技術の更なる革新である「AI for Science」の実現を目指します。また、経済産業省・新エネルギー・産業技術総合開発機構事業の一環として実施されている「計算可能領域の開拓のための量子・スパコン連携プラットフォームの研究開発(JHPC-Quantum,理化学研究所・ソフトバンク(http://jhpc-quantum.org/))」の一環として利用され、世界に先駆けて量子・スパコンハイブリッド連携による新しい科学の開拓に向けて、ソフトウェア開発、計算資源提供の両面から貢献します。
筑波大学計算科学研究センター 広報・戦略室
E-mail: pr [at] ccs.tsukuba.ac.jp
東京大学情報基盤センター 広報担当
E-mail: itc-press [at] itc.u-tokyo.ac.jp
(Miyabi-Gの設置写真)